ドリームライフ

ペットと暮らす美しい住まいのつくり方

注文住宅事例写真

人間と動物がともに心地よく美しく暮らせる住まいとは?

 

私は幼い頃からずっと犬と暮らしてきて、これまでに4匹の犬を看取りました。そして最近、新しい家族、ちょっとやんちゃで元気いっぱいのビション・フリーゼが我が家にやってきたばかりです。ということで、猫は飼ったことがないため犬の話が主にはなりますが、以前、こんな話を聞いたことがあります。動物の中で、犬と馬は人間と共存してきた特別な存在で、どちらも人間に服従することでモチベーションが上がり、人間に依存することで幸せを感じる。基本的に野生の犬と馬は存在しないのだと。人間のほうも犬と触れ合うことで、オキシトシンというホルモンが分泌され癒されるのだとか。ドッグセラピーも認知されるようになりました。
最近は、住宅を設計する際、犬や猫と暮らすことを設定したプランのリクエストも少なくありません。これまで手掛けた実例をもとに、人間も動物もともに快適に、美しく暮らすためのインテリアデザインのポイントをお話ししましょう。

 

ペットと暮らす住まいで考えるべきはインテリアの「素材」

 

まず、動物と暮らすうえで考えたいインテリアの工夫はいろいろとありますが、インテリアにおいて特に大切な要素はマテリアル(素材)。動物と暮らすインテリアの床壁や家具の仕上げの素材選びは重要です。

注文住宅事例写真

1)住宅用のタイルカーペットはクッション性もあり、継目が目立たないものです。汚れたらその部分を自分で簡単に交換できます。一般的に汚れが気になる白も安心して使えます。

 

動物と暮らすと、素材が汚れることは避けられないので、汚れにくい素材、掃除がしやすい素材、部分交換できるタイルカーペットなど、素材選びに配慮します。特に犬は滑りやすく、滑ると股関節を傷めてしまうことがあります。適度なグリップ感が得られるカーペットや滑り止め加工を施したフローリングやタイルなどの素材を使うプランニングが必要です。また、家具に傷をつけることも想定して素材を選ぶこともあります。

注文住宅事例写真

2)ゴールデンレトリバーを飼われているこちらのお宅では、傷がつきにくい家具をご要望され、ソファとテーブルをタイルを使ってデザインしました。床の素材は汚れにくく、掃除がしやすいタイル。

 

注文住宅事例写真

3)全体の床に傷がつきにくく、汚れの掃除がしやすい、石やタイルを使う場合は、エリアラグで温かさをプラスするのもおすすめです。犬用のベッドもリビングに。

 

猫の場合は、爪研ぎが必要です。居心地の良い場所を求めて移動する猫の場合、ソファの素材にも注意しなくてはなりません。個体差もありますが、普通の革や布では引っ掻いてボロボロになってしまう可能性があります。「エクセーヌ」という人工のスウェード調合皮は爪が引っかからない素材としてイタリアの家具メーカーも採用しています。また、上下運動や高い場所を好む猫のためにキャットタワーやキャットウォークの設置も有効です。インテリアに合わせたキャットタワーをデザインしたことがありますが、段差の高さ、棚の幅、素材などなど、猫の行動や既成のキャットタワーをしっかり研究して製作しました。幸い、猫に気に入ってもらえてよく利用してくれています。

注文住宅事例写真

4・5)猫3匹を飼われているマンション。納品したMolteniの家具の素材や色に合わせ、キャットタワーをデザイン。柱は木製、棚のフレームはMolteniと同じ鏡面塗装の茶とベージュの2色に。棚の上部は猫が居心地よく感じるようパンチカーペットで仕上げました。

 

注文住宅事例写真

6)猫のいる方のために、住宅の新築を機に、ずっと愛用してきたソファーの張り替えをしました。カバーリングにしているので、洗濯も張替えも容易です。猫は爪で布を引っ掻く特性がありますが、エクセーヌという人工素材は、爪が引っかからず、傷がつきません。

 

ずっと犬と暮らしてきた私にとって犬は「DOG IS GOD」。これまでにも、たくさんの無償の愛をもらい、多くのことを教えてもらいました。人間と動物、ともに心地よく快適に美しく、そして幸せに暮らせる。そんな住まいはインテリアを少し工夫することで実現すると思います。




「暮らしの実例」の関連記事

ページの上へ