ドリームライフ

「移住」住まいの考え方

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今回のテーマは「移住」。転勤や結婚などの諸事情から住む家を変える“引っ越し”ではなく、ライフスタイルや価値観に合わせて、意思を持って“暮らす場所を移す”ことを、「移住」と考えます。

暮らしをそのまま移動する移住。週末移住に必要な日常と非日常のバランス

 

このテーマで、私が思い浮かべる建築は、写真のフランク・ロイド・ライトの代表作の一つ「落水荘(フォーリング・ウォーター)」です。ピッツバーグの百貨店オーナーだったエドガー・カウフマン氏の依頼でフランク・ロイド・ライトが設計し、1935年に建てられた別荘です。

森の中にある滝の上に建てられていて、自然の中に身を置いていることを感じながら過ごすことができる週末住宅です。階段を使って直接、水辺に降りることもできますし、夫人はテラスから釣りを楽しんだといわれますが、その様子はまさに非日常。

別荘は、この日常と非日常の絶妙なバランスが重要なのだと思います。非日常感やワクワク感を求める旅とは異なり、暮らしを移動するプチ移住ともいえる、別荘のお話からはじめましょう。

 

将来の定住を視野に入れた別荘を移住先につくる

 

私のクライアントや知人にも、都心で暮らしながら自然を求めて長野・軽井沢に別荘を建てる人がたくさんいます。

昔のように、年に数回だけ行く別荘ではなく、週末ごとに通い、長期の休暇時にも過ごす別荘ですから、プチ移住、あるいは週末移住といえるかもしれません。

そうなると別荘での暮らしはライフスタイルの一部にもなり、いずれは別荘に移住することを考えている方も少なくありません。

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1・2)軽井沢の別荘。都心のマンションに暮らしつつ毎週末、この別荘で過ごされています。将来、ここに移住する可能性を考えて設計。

 

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3)平屋ですが仕事ができる書斎スペースをロフトにつくりました。

 

「移住」と「仕事」というものは、切り離して考えることはできません。

少し前なら、自然を求めて都心から地方に移住すること=田舎暮らし、農業をはじめる……、というイメージでしたが、インターネット時代となった現代では、移住先でも変わらず現在の仕事を続けることも可能です。

もちろん、仕事の内容にもよりますが、知人のグラフィックデザイナーは、都心から静岡県・熱海に移住しましたが、変わりなく仕事を続けられています。また、こちらはアーティストの家。

世界中を旅して、海外に暮らした経験もあるクライアントが移住先として選んだのは長野県の穂高でした。

自然の中に身を置き、自然の一部だと感じられることは豊かな創造力を生むようです。

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4・5)穂高のアーティストの家。東京からの移住。大きな窓からは美しい日本アルプス山脈を眺めることができ、周囲にはのどかな田園風景が広がります。この環境を生かした、外と中がつながる建築が自然との一体感を高めます。

 

仕事やライフスタイルに合わせて自分らしい理想を実現する移住

 

医師という職業は仕事と場所のつながりがより明確です。

写真の医院の医師は、出身地の栃木県宇都宮に産婦人科医院を建てて、小児科医である夫人とともに東京から移住。病院内に住宅空間をつくり、現在は2人のお子さんと4人家族で暮らしています。

移住することで、病院を訪れる患者はもちろん、先生やスタッフ、そして家族も快適に過ごすことができる理想の空間を追求、実現させた例です。

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6・7)産婦人科の医師は24時間勤務といっても過言ではありません。常に妊婦を見守り対応しなくてはならないので、すぐに駆けつけられるよう住職一致は必須。医療空間の機能性やデザイン性にもこだわり、快適な医療空間と住宅空間が同居しています。

 

移住の形もいまはさまざまで、都心から地方への移住もあれば、その逆もあります。

こちらは国を超えて移住された方々の例。

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8)便利な都心に建てた家をセカンドハウスに。住まい手自身のライフスタイルを優先した移住先として、東京を選択した。

 

それぞれオランダ、京都に拠点を持ちながら、東京の都心に新たな拠点としての家をつくられました。

東京・港区を選んだ理由は、レベルの高い美味しいレストランが多いこと、友人を招いてよく食事会を行うこと……、などなどグルメで料理が趣味の住まい手にとって青山は、生活に必要な条件が揃った=ライフスタイルに合った場所ということなのです。

ライフスタイルとして何を最優先させるかということは、移住する際の最も重要なポイントだと思います。

「暮らしが仕事、仕事が暮らし」これは、私の師であるインテリアデザイナーの内田繁から教えられたこと。モノを創造する者は、住と職が一致しているべきだという、長年の私の理想だった師の教えを、私自身も昨年ついに実現させました。

仕事場と住居を都心の青山から都内の住宅街に移したのです。約1年間過ごしてみて、師の言葉通り、住と職が一致していることの大切さを痛感しています。四季を感じる空間に身を置くことで、これまで見逃していた多くのことにも気づくことができました。

自分らしいライフスタイルを表現する最も大切な空間として「住宅」を考えるとき、「住宅・仕事・自然」のバランスを自分らしい形で表現することは、豊かに生きていく上でとても大切です。

本当に自分らしいライフスタイルを見つけるために、「移住」が以前に比べて実現しやすくなった現代、移り住まうことはとても有効で魅力的な選択肢といえるのではないでしょうか。 

 

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