ドリームライフ

住宅のデザインについて「デザインの力」

インテリア

 

住宅のデザインについて「デザインの力」をテーマに、暮らしやすい美空間のつくり方を教えてもらいます。

 

デザインとは「住む人の心を形にする」こと

 

これまで100軒以上の住宅を設計してきたなかで、「デザインする」ということを最も考えさせられたのは、ファッションデザイナー・コシノジュンコさんのご自宅を設計したときでした。

デザイナーの家の「デザイン」。

ここで私がすべきことは、具体的に何かをデザインするというよりは、コシノさんらしく快適に過ごせるように機能性を工夫し、自然にデザインが生まれるキャンバスのような空間をつくること。

まるで空気をデザインしているような感覚でしたが、まさに、コシノさんの心を形にする作業でした。

 

インテリア

家は人をもてなすための空間であるコシノ邸。

ファッションショーや能舞台、オペラを催す住宅はすべてがハレの空間。

そこで振り返ると、私が住宅をデザインする際に、常に心掛けているのはやはり「住む人の心を形にする」ことだったのです。

住む人が自分らしいと感じる空間を、より機能的で快適に、かつ美しく実現する=「心を形にする作業」これそがデザインだと思います。

デザイナーが主体となってデザインをしてしまっては、住む人が自分らしいと感じる空間は決して生まれないでしょう。住む人の心を形にして空間に表現できるのがプロのデザイナーの仕事なのです。

そして、くり返しお伝えしていることですが、自分らしいと感じるインテリアは、豊かな暮らしにつながります。今回はそれを実現させる「デザイン」についてのお話しです。

 

自分らしい暮らしを「デザインする」には

 

では、具体的に住まいを「デザインする」という作業をご紹介しましょう。

いくつかのキーワードを実例とともに挙げてみたいと思います。

 

『時間を形にする』
その人や家族の歴史を空間に表現したり、アンティークの家具や小物を配して、つながる時間の流れを感じられる空間をデザインします。

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クライアントの家に代々受け継がれている、伊藤博文の自筆の書を屏風風にアレンジしてインテリアの要に。

 

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先代の家にあった灯籠を分解し、踏み石やつくばいにして庭をつくった例。

違う形になった灯籠が、再び時を刻んでいく。

その人らしさを表現できる床の間のような場所をつくり、大切にしているものを眺められる空間にしたり、アトリエのような場所をつくり、趣味の作業ができる空間にします。

このような空間がその人らしさを形にしてくれます。

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大切なファッションコレクションを飾ることができるディスプレイクローゼットを寝室に。

中央に置かれたエルメスの赤いバッグはお母様の形見。

インテリア

大好きなデザイナーのミッソーニから贈られたアートが飾れる空間を玄関に。

ミッソーニのアートの色に合わせ、赤い皮のコンソールをデザインしました。

機能的であることは、空間に快適さや美しさをつくり出してくれます。

さまざまな工夫によってそれを実現させてきました。

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限られた住空間を有効に使うため、階段の一段目をTVボードにした例。

TVは壁に埋め込み視覚的にもすっきりと。

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床の段差を利用してソファをつくった例。

建築的な石のソファが個性的な空間をつくっている。

家が狭い、陽が差さない……、

マイナスと思われる要因を発想とデザインでプラスに変えることもできます。

それによって個性的な空間が生まれることも多いのです。

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ワンルームの限られたスペースが広く感じられるように寝室の隣のバスルームをガラス張りに。

ゆったりと過ごせる個性的な空間に。

ほかにもいろいろな例がありますが、今回はこれくらいにしましょう。

必要なものをお気に入りに変え、機能性を美しいものに変えて心地よい空間を生み出す、それが「デザインの力」です。

私たちプロのデザイナーは経験と知識で、住む人の思いを空間のなかに表現していますが、実はこれは誰もができること。

自分の好きなものが何か、自分がどんな風に暮らしたいかを明確にイメージすることができさえすれば、自分らしい空間を自分でデザインすることは可能なのです。

 




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